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技術コラム

TECHNICAL COLUMNS

機能性繊維とは?生地の機能を最大化する当社の技術をご紹介

衣類や産業資材に求められる性能は、着心地やデザイン性だけではありません。汗によるべたつきや汚れ、水濡れ、臭いなど、使用環境で発生するさまざまな課題を解決するために活用されているのが「機能性繊維」です。機能性繊維には、吸水速乾や撥水、防汚、抗菌、消臭、ストレッチなど多様な機能があり、加工技術によって生地に新たな価値を付与することも可能です。ここでは、機能性繊維の基本から主な用途、東洋染工株式会社が対応する加工技術まで詳しくご紹介します。

 

機能性繊維とは?定義について

機能性繊維とは、一般的な繊維が持つ風合いや強度などの特性に加え、特定の用途や使用環境に応じた機能を持たせた繊維・生地の総称です。

代表的な機能として、汗を吸収して乾燥を促す吸水速乾性、水をはじく撥水性、汚れを落としやすくする防汚性、菌の増殖を抑える抗菌性、臭いを低減する消臭性などが挙げられます。また、ストレッチ性や保湿性など、着用時の快適性を高める機能もあります。

こうした機能を実現する方法は一つではありません。繊維そのものの形状や原料を工夫するほか、生地の染色・仕上げ工程で薬剤や樹脂などを付与する「後加工」によって機能を加える方法もあります。
さらに、異なる生地やフィルム、不織布などを貼り合わせたり、生地表面へコーティングを施したりすることで、単一素材だけでは得にくい複数の性能を持たせることも可能です。

そのため機能性繊維の開発では、単に機能を付与するだけでなく、素材、用途、洗濯条件、必要な耐久性、風合いなどを踏まえて加工方法を設計することが重要です。

 

機能性繊維で解決できる課題例

機能性繊維は、衣料品から産業資材まで幅広い分野の課題解決に利用されています。ここでは代表的な課題と、それに対応する機能について解説します。

 

水分・汗対策

求められる機能:吸水、吸水速乾、汗冷え防止

 

スポーツウェアやインナー、ユニフォームなどでは、汗による蒸れやべたつきが着用時の不快感につながります。そこで活用されるのが吸水・吸水速乾機能です。
吸水機能によって汗を素早く生地へ取り込み、さらに水分を拡散して乾燥を促進することで、肌に汗が残る時間を短くできます。
また、汗を大量にかいた後は、濡れた生地によって身体の熱が奪われる「汗冷え」への対策も重要です。肌面を濡れにくくする構造や加工を組み合わせれば、運動中だけでなく運動後の快適性向上も期待できます。

 

水・汚れ対策

求められる機能:撥水、防汚

 

屋外で使用する衣料品や資材では、雨などの水分や汚れへの対策が必要です。

撥水加工は、生地表面で水をはじきやすくすることで、水滴が繊維内部へ浸透するのを抑える加工です。一方、防汚加工には、汚れを付きにくくしたり、付着した汚れを洗濯時に落としやすくしたりする役割があります。

特にユニフォームや白衣など繰り返し着用・洗濯される製品では、初期性能だけではなく、洗濯後も必要な性能を維持できるかという耐久性も重要な設計要素となります。

 

快適性

求めらえる機能:保湿、ストレッチ

 

肌に直接触れる衣類や寝具では、機能だけでなく使用時の快適性も求められます。
例えば、保湿機能を持つ生地は乾燥しやすい環境での肌触りや快適性を考えた製品に活用できます。また、ストレッチ性を持たせることで身体の動きに生地が追従しやすくなり、スポーツウェアやインナー、ユニフォームなどの動作性向上につながります。
快適性を高める場合には、単一機能だけを見るのではなく、吸水性や速乾性、柔軟性などを組み合わせ、実際の着用環境を想定して設計することが重要です。

 

衛生対策

求められる機能:抗菌、消臭、防汚

 

衣類や医療・衛生関連資材などでは、衛生面への配慮も欠かせません。

抗菌加工は繊維上における細菌の増殖を抑えることを目的とし、消臭加工は不快な臭いを低減するために用いられます。さらに防汚加工を組み合わせれば、汚れを落としやすくすることで製品を清潔に保ちやすくなります。

特に繰り返し使用する製品では、洗濯や使用を重ねた際の機能低下を考慮し、要求される耐久性に合わせて加工を選定することが大切です。

 

複合化

求められる機能:コーティング、貼り合わせ

 

一つの生地だけでは要求性能を満たせない場合には、コーティングや貼り合わせによる複合化が有効です。

例えば、表地とフィルム、裏地など異なる素材を組み合わせることで、防水性や透湿性、接着性など複数の特性を持つ生地を設計できます。

コーティングでは、樹脂の種類や塗布方法によって接着、滑り止め、剛性付与などさまざまな機能を付与できます。複合化は衣料品だけでなく、自動車や電子部品、各種産業資材の機能設計にも活用されています。

 

機能性繊維が使用される主な用途

機能性繊維は、身近な衣料品から産業用途までさまざまな製品に使用されています。

スポーツ・アウトドア用品

スポーツ・アウトドア用品では、運動時の発汗や天候の変化に対応するため、吸水速乾、汗冷え防止、撥水、UVカット、防汚などの機能が求められます。

特に汗を多くかくウェアでは、単純に水分を吸収するだけではなく、肌面の濡れやべたつきを抑えることが快適性を左右します。また、アウトドア用途では雨や泥などの影響も受けるため、撥水性や防汚性との組み合わせも有効です。

 

ユニフォーム・白衣

ユニフォームや白衣は長時間着用することが多いため、吸水速乾性による快適性の確保に加え、防汚、抗菌、消臭といった機能が活用されます。

食品、医療、製造などの現場では頻繁な洗濯が必要になるケースもあり、工業洗濯を想定した耐久性も重要です。製品設計時には必要な機能だけでなく、洗濯条件を踏まえて加工を選ぶ必要があります。

 

医療・衛生資材

医療・衛生分野では、抗菌、防汚、吸水などの機能に加え、用途によっては薄さや軽量性も求められます。

また、生地とフィルム、不織布などを貼り合わせることで、それぞれの素材の特徴を生かした複合資材を設計できます。使用環境に応じて衛生性、柔軟性、耐久性などのバランスを検討することが重要です。

 

寝具・生活資材

寝具や生活資材では、吸水性や保湿性、消臭性などが快適性向上に役立ちます。

さらに、フィルムなどとの貼り合わせによって防水性と透湿性を組み合わせれば、水分の侵入を抑えながら湿気を逃がすといった製品設計も可能です。寝具は肌に触れる時間が長いため、機能だけでなく風合いや柔軟性も重要になります。

 

自動車・電子部品・産業資材

機能性繊維の用途は衣料品だけではありません。フィルター、車両シート、電子部品関連資材など、多様な産業分野で使用されています。

産業用途では、接着やコーティング、異素材の貼り合わせなどを利用して、必要な物性や機能を作り込むケースがあります。使用環境や製造工程によって要求性能が大きく異なるため、素材選定から加工条件まで一体的に検討することが重要です。

 

東洋染工株式会社が対応している加工

東洋染工株式会社では、生地が本来持つ特性を踏まえながら、用途に応じた機能を付与するさまざまな加工に対応しています。

ベタツキ、汗冷え防止加工

東洋染工独自の「アクアホール」は、生地全体に吸水性を付与しながら、凹凸のある生地の凸部に撥水機能を持たせる加工技術です。

汗を凹部から吸収する一方、肌に接触しやすい凸部は濡れにくくすることで、汗をかいた際のべたつきや濡れ感を抑えます。一般的な吸水速乾生地では乾燥するまで生地表面が濡れることがありますが、アクアホールは肌面のドライ感に着目している点が特徴です。

ポリエステルやナイロンなどに対応し、生地によって性能差はあるものの洗濯耐久性も考慮されています。また、PFASを含まないフッ素フリーの加工技術が採用されています。スポーツウェアやインナー、サポーターなど、肌との接触が多く汗対策が求められる製品への活用が可能です。

>>べたつき防止加工 (アクアホール)の詳細はこちら

 

防汚加工(ヒシード)

「ヒシード」は、ポリエステル素材を中心に防汚性と吸水速乾性を付与する東洋染工独自の防汚加工です。

油汚れなどを生地表面から浮き上がらせ、洗浄時に除去しやすくする機構を採用しています。特に皮脂や食品由来の油など、通常の洗濯では残りやすい汚れへの対策として活用できます。

また、工業洗濯を想定した耐久性も特徴で、繰り返し洗濯されるユニフォームやリネンなどにも適しています。防汚性だけでなく吸水速乾性も付与できるため、清潔性と着用時の快適性の両立を図りたい製品に有効です。

>>防汚加工(ヒシード)の詳細はこちら

 

貼り合わせ加工

東洋染工では、織物や編物、フィルム、不織布、合成皮革など、異なる素材を接着して一体化する貼り合わせ加工に対応しています。

20年以上培ったドット加工技術を活用し、樹脂を必要な部分へ点状に配置することで、接着面積を抑えながら接着強度を確保します。全面を接着する方法と比べ、生地が本来持つ柔軟性や通気性を生かしやすいことが特徴です。

接着にはPA、PET、PU、PURなど、素材や用途に合わせたホットメルト樹脂を選定できます。有機溶剤を使用しない方式で、防水・透湿用途から寝具、介護用品、車両シート、サポーターなど幅広い製品の複合化に活用できます。

>>貼り合わせ加工の詳細はこちら

 

薄地加工

薄く軽量な生地は製品の軽量化に役立つ一方、加工時のスレやキズ、形状変化が生じやすく、安定した加工には高度な管理が必要です。

東洋染工では、10g/㎡程度の極薄生地にも対応しています。デリケートな生地に合わせて設備や加工条件を選定し、物理的な負荷を抑えながら加工することが特徴です。

ビーム染色機を使用した加工では、生地を拡布状態で巻き取り染液を循環させることで、生地にかかるストレスを抑えた染色が可能です。薄地ニットをはじめ、アウトドア衣料や寝装、産業資材などの軽量化を検討する際に活用できます。

>>薄地加工の詳細はこちら

 

広巾加工

大型製品や産業資材では、通常の衣料用生地よりも大きな幅で加工する必要があります。

東洋染工では、最大4,300mm幅まで対応可能な広巾設備を保有しており、衣料、寝装、産業資材などの加工に対応しています。ニット生地では端部が丸まる「カール」が加工品質に影響するため、専用ロールによる矯正処理を行い、形状を整えながら加工します。

また、2本取・3本取による加工にも対応しており、一度の工程で複数本を処理することで、生産効率やリードタイムの改善につなげることも可能です。

>>広巾加工の詳細はこちら

 

接着・コーティング加工

東洋染工では、長年培ってきたドット加工技術を利用した接着・コーティング加工にも対応しています。

生地全面を樹脂で覆うのではなく、樹脂を点状に付与することで、生地本来の柔らかさや通気性をできるだけ維持しながら機能を加えることができます。用途に応じてシングルドットやダブルドットなどを使い分け、接着力や剛性を調整することも可能です。

また、有機溶剤を使用しないホットメルト樹脂を採用しており、滑り止め、再帰反射、片面撥水、部分的な剛性付与、縫製時の仮接着など、多様な機能設計に活用できます。衣料用接着芯地からスポーツ用品、産業資材まで幅広い用途への展開が可能です。

>>接着・コーティング加工の詳細はこちら

 

撥水加工

東洋染工では、PFASフリー(非フッ素タイプ)の撥水加工「トーヨーリペル」に対応しています。

水をはじく性能を付与しながら、生地本来の質感や柔らかさをできるだけ維持できることが特徴です。また、撥水機能だけを付与するのではなく、防汚加工や薄地加工などと組み合わせた生地開発にも対応しています。

スポーツウェアやアウトドアウェアなどでは、撥水性能と同時に軽量性や風合い、洗濯耐久性など複数の要件が求められます。用途に応じて加工を組み合わせることで、必要な機能と着用時の快適性を両立した生地設計につなげられます。

>>撥水加工の詳細はこちら

 

当社の加工事例をご紹介

ランニングシャツ べたつき防止加工

こちらは、べたつき防止・汗冷え防止機能を付与したランニングシャツの加工事例です。

約100g/㎡の軽量な小メッシュ生地に、東洋染工の特許技術を活用した薄膜の撥水コーティングを施しています。汗をかいた際に生地が肌へ張り付く不快感を軽減し、ドライな着用感を保ちやすくしている点が特徴です。

また、生地が持つ軽量性や通気性を損ないにくいため、マラソンなど発汗量の多いスポーツシーンにも適しています。汗によるべたつきや汗冷えを抑え、運動時の快適性を高めたいスポーツウェアやインナーなどに活用できる機能性生地です。

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薄地加工

こちらは、ティッシュペーパーよりも軽く、わずかな摩擦でも傷が生じるほど繊細な極薄生地への染色仕上加工の事例です。

非常にデリケートな素材のため、加工時には生地への負荷をできる限り抑えることが重要です。当社では、生地の特性に合わせて加工条件を細かく調整することで、傷やダメージの発生を抑えながら、ムラの少ない均一で美しい染色仕上げを実現しています。

極薄生地の加工には、各工程における繊細な管理と高度な加工技術が欠かせません。当社では、長年培ってきた薄地加工のノウハウを活かし、取り扱いが難しい素材に対しても継続的に安定した品質で加工できる体制を整えています。

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椅子カバー 防汚加工

こちらは、ポリエステル素材の椅子カバーに防汚加工を施した事例です。

当社の商談室で従来使用していた綿素材の椅子カバーは、定期的に洗濯していても黄ばみが残りやすく、清潔な状態を保ちにくいことが課題でした。そこで、素材をポリエステルに変更するとともに、付着した汚れを洗濯時に落としやすくする防汚加工を施した椅子カバーへリニューアルしました。

防汚機能を付与したことで、日常的な汚れへの対応がしやすくなり、椅子カバーを清潔に保ちやすくなりました。見た目の印象も改善され、商談室全体の明るく清潔感のある空間づくりにもつながっています。

さらに、ストレッチ性のある生地を採用したことで、洗濯後の椅子への取り付けもスムーズになりました。防汚性だけでなく、取り扱いやすさやメンテナンス性の向上も実現した加工事例です。

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まとめ

今回は、機能性繊維の定義や解決できる課題、主な用途、代表的な加工技術についてご紹介しました。

機能性繊維は、吸水速乾、汗冷え防止、撥水、防汚、抗菌、消臭といった個別の機能だけでなく、コーティングや異素材の貼り合わせなどを組み合わせることで、用途に合わせた幅広い性能設計が可能です。一方で、求める性能を実際の製品で発揮させるには、素材との相性や風合い、洗濯耐久性、加工条件などを総合的に検討する必要があります。

お困りの方はお気軽に当社にご連絡ください。

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