PFASフリー撥水加工とは?非フッ素撥水の特徴と耐久性について解説
近年、繊維業界では環境や安全性への配慮が重視されるようになり、撥水加工においてもPFASを使用しない加工へ切り替える動きが広がっています。
一方で、「PFASフリーにすると撥水性能はどうなるのか」「洗濯耐久性は保てるのか」といった不安の声も多く聞かれます。
本記事では、PFASフリー撥水加工の基礎知識から、フッ素系撥水との違い、耐久性を左右する要素、当社の加工技術まで詳しく解説します。
PFASフリー撥水加工とは?
PFASフリー撥水加工とは、PFAS(有機フッ素化合物)を使用せずに、生地の表面に水をはじく機能を付与する加工のことです。「非フッ素撥水」「フッ素フリー撥水」「C0撥水」といった呼び方をされることもありますが、いずれもほぼ同じ意味で使われています。C0という表現は、これまでのフッ素系撥水剤が炭素数によってC8、C6と呼ばれてきたことに由来します。
使用される薬剤は、主に炭化水素系やシリコーン系です。フッ素とは異なる仕組みで生地の表面状態を変え、水滴が広がらずに玉のようになってはじかれる状態をつくります。
PFASフリー撥水加工が求められる背景
PFASをめぐる環境面の課題
PFASは、炭素とフッ素が非常に強く結びついた化合物です。熱や薬品に対してきわめて安定しており、この性質が優れた撥水性・撥油性を生み出してきました。
しかし同時に、その安定性は自然環境の中でも分解されにくいという性質につながっています。「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」と呼ばれるのはこのためで、環境中に排出されると土壌や水に長くとどまり、生物の体内に蓄積していくことが指摘されています。一部の物質については健康への影響も懸念されており、各国で規制の議論が進められています。
>>【よくある質問】当社のPFASフリー(非フッ素)の対応について
法規制やブランド基準への対応が進んでいる
こうした背景から、繊維製品に含まれるPFASへの規制は、具体的な対応が求められる段階へと移りつつあります。EUではREACH規則において、これまで広く使われてきた種類のフッ素系撥水剤が制限の対象に加えられました。米国でもカリフォルニア州をはじめとする複数の州で、繊維製品に含まれるPFASを規制する法律が施行されています。
日本国内には現時点で繊維用途を直接規制する法律はありませんが、輸出製品や海外ブランド向けのOEMでは、納入先国の規制やブランド独自の化学物質管理基準が実質的な判断基準となります。国内向けの製品であっても、将来的な海外展開や取引先の基準変更を見据えて、あらかじめ切り替えておく動きが広がっています。
なお、法令の施行時期や対象範囲は変更される場合がありますので、実際の対応にあたっては最新の情報をご確認ください。
撥水性能は維持したい、という前提
とはいえ、規制に対応するために製品の性能を下げるわけにはいきません。求められているのは、PFASを使わずに必要な撥水性能をきちんと確保することです。当社では、有機フッ素を使用しないPFASフリーの撥水加工「トーヨーリペル」により、環境への配慮と撥水性能の両立に対応しています。
フッ素系撥水とPFASフリー撥水の違い
もっとも大きな違いは、油をはじく性能(撥油性)です。水よりも油のほうが生地になじみやすい性質を持つため、油をはじくには水をはじく以上に高い性能が求められます。この撥油性を実現できることがフッ素系の大きな特長であり、PFASフリーで同等の性能を得ることは難しいのが実情です。
繰り返し洗濯した後の性能についても、フッ素系と比べると加工条件の影響を受けやすい傾向があります。ただしこれは「非フッ素だから必ず劣る」という意味ではなく、後述する条件設計によって結果が大きく変わる部分です。
要件を整理するうえでは、撥水・防水・防汚を混同しないことも大切です。
「撥水加工を強くすれば油汚れも防げる」という考え方は、PFASフリーでは成り立ちません。ワークウェアやユニフォームのように機械油や皮脂の汚れが問題になる用途では、撥水加工とは別に防汚加工を組み合わせる設計が必要になります。

PFASフリー撥水の耐久性を左右する要素
「PFASフリーに切り替えたら性能が出ない」というご相談をいただくことがありますが、原因が薬剤ではなく加工条件側にあるケースは少なくありません。前処理から後工程までを一体で設計する必要があります。
生地に残った油剤や加工剤
紡糸油剤、製編・製織時の油剤、染色工程で使用した柔軟剤などが生地に残っていると、撥水剤が繊維に均一に付着しにくくなり、加工しても撥水性が発揮されないことがあります。
とくに非フッ素系の撥水剤は、フッ素系に比べて生地の表面状態の影響を受けやすい傾向があります。撥水性が思うように出ない場合は、精練を含む前処理の条件から見直すことが有効です。
熱処理の条件と後工程
撥水剤は、生地に付着させただけでは機能しません。乾燥とキュア(熱処理)を経ることで、はじめて水をはじく状態になります。この条件が不足すると、加工直後は性能が出ていても洗濯によって短期間で低下します。反対に熱をかけすぎると、黄変や風合いの硬化、生地強度の低下につながります。適切な条件は素材によって異なり、とくにポリウレタン混の生地は熱の影響を受けやすいため注意が求められます。
見落とされやすいのが後工程との関係です。撥水加工のあとに熱セットやカレンダー加工を行うと、撥水層が変質して性能が低下することがあります。とくに貼り合わせ加工との組み合わせでは、撥水加工を施した生地は接着剤もなじみにくく、そのままでは十分な接着強度を確保できません。加工の順序や接着剤の選定まで含めた設計が求められます。
当社の撥水加工における特徴
PFASフリーの環境配慮型撥水加工に対応
当社では、有機フッ素を使用しないPFASフリーの撥水加工「トーヨーリペル」に対応しています。環境負荷の低減が求められる近年、衣類製品や繊維資材においても、安全性や環境規制への対応は重要な課題です。当社の撥水加工は、ブルーサイン基準に対応した安全性の高い加工でありながら、優れた耐久撥水性を発揮します。スポーツウェア、インナー、アウトドア用品など、環境配慮と機能性の両立が求められる製品に最適です。
撥水性と防汚性を両立した生地開発が可能

当社の撥水加工は、水をはじく性能だけでなく、防汚性も両立できる点が大きな特徴です。雨や水滴への対策はもちろん、泥汚れ、食べこぼし、日常的な汚れの付着を軽減したい製品にも適しています。特にスポーツウェアやアウトドア用品、テーブルクロス、靴資材など、繰り返し使用される製品では、撥水性と防汚性を兼ね備えることで、清潔性やメンテナンス性の向上につながります。また、洗濯や使用を重ねても機能を維持しやすい加工設計により、長期的な品質維持にも貢献します。
生地本来の風合いを損なわない柔軟な加工対応

撥水加工では、水をはじく性能を高める一方で、生地が硬くなったり、肌触りが変化したりすることがあります。当社では、撥水機能を付与しながらも、生地本来の質感や柔らかさを損なわない加工対応が可能です。スポーツウェアやインナー、アウトドア用途など、着心地やデザイン性が重視される製品においても、機能性と風合いを両立した仕上がりを実現します。用途や素材に応じて加工条件を調整することで、製品価値を高める撥水加工をご提案します。
加工事例の紹介
生地 撥水加工

ポリエステル生地への撥水加工の事例です。撥水性に加えて速乾性と防汚性を付与しており、服・かばん・靴といった幅広い用途に対応しています。水をはじく機能だけでなく、乾きやすさや汚れへの配慮まで含めて設計した事例です。
PFASフリー撥水加工は東洋染工にお任せください
今回は、PFASフリー撥水加工についてご紹介しました。PFASフリーへの切り替え、新規製品への採用、洗濯耐久性の改善など、当社ではさまざまなご相談を承っています。基布(素材・組織)、用途、必要な性能、洗濯条件を共有いただけますと、加工条件のご提案がしやすくなります。
機能性繊維ナビを運営する東洋染工株式会社では、PFASフリー撥水加工のほか、独自のべたつき・汗冷え防止加工、4mを超えるような広巾の生地加工、異素材を組み合わせた貼り合わせ加工など、生地の性能を最大化させる加工に対応しております。お困りの方はぜひ当社にご連絡ください。

