生地の広巾(広幅)加工とは?最大4mに対応する事例もご紹介
大きな製品を継ぎ目なく仕立てたい、歩留まりを少なくしたいこうしたニーズから、広巾生地の加工先を探されている方は多くいらっしゃると思います。しかし、生地の幅が広くなるほど、幅全体を均一に加工することが難しくなり、対応できる加工先は限られてきます。今回は、生地の広巾加工(広幅生地)の基礎知識と、広幅化によって得られるメリット、加工時の課題、そして最大約4000mmに対応する当社の広巾・広幅加工体制についてご紹介します。
生地の広巾加工(広幅生地)とは?
広巾加工とは文字通り、生地幅の広い生地の加工を指します。生地幅とは、生地を広げたときの端から反対の端までの横方向の長さを指します。一般に1400mm以上の幅広い生地はダブル幅・広幅と呼ばれます。企業やメーカーの用途では1800mmを超えるさらに広い生地が必要になることも珍しくありませんが、幅が広くなるほど生産・取り扱い・運搬の難易度が上がるため、広幅生地に対応できる加工先は限られます。広巾加工とは、こうした幅の広い生地に対して、染色や整理仕上げなどの加工を均一に施す技術を指します。
生地幅の種類と規格
生地の幅は、用途や生産設備によっていくつかの規格に分かれます。まず全体像を押さえておくと、広幅生地の位置づけと、自社の製品に必要な幅が分かりやすくなります。代表的な区分は次のとおりです。
・着物巾(小幅):約350〜400mm。和服・浴衣など
・シングル幅:約900mm前後。小物やベビー・キッズ向けなど
・普通幅:約1,100〜1,200mm。洋裁で最も一般的な標準幅
・ダブル幅:約1,400〜1,800mm。スーツ・コートなど大きなパーツ向け
・広幅(広巾):おおむね1,800mmを超える幅。資材・インテリア・大判製品向け
一般に1,400mm以上がダブル幅・広幅と呼ばれ、メーカー用途では1,800mmを超える広幅生地が求められることもあります。幅の呼び方や実寸は業界・産地によって幅があるため、取引の際は必ず具体的な寸法(cm・mm)で確認することが重要です。
広幅生地が使われる主な用途
広幅生地は、大きな面積を継ぎ目なく確保したい製品や、生地を効率よく使いたい製品で特に効果を発揮します。代表的な用途は次のとおりです。
・寝装・インテリア:シーツ、ベッドカバー、カーテンなど大判のアイテム
・産業・工業資材:テント、シート、フィルターや各種工業資材
・医療・衛生・農業資材:面で広く使う資材類
・広告・展示:大型バナーやディスプレイ用のプリント生地
・アパレル:大きな型紙を効率よく取りたい衣料、継ぎ目を避けたいアイテム
東洋染工は衣料資材にとどまらず、医療・農業・工業・生活資材まで幅広い分野の染色整理加工を手掛けており、こうした広幅対応が求められる多様な用途に対応できます。いずれの用途でも、幅の広さそのものに加えて、幅全体で色・寸法・風合いが均一であることが求められます。
生地を一体で広巾加工できることによるメリット
生地を広幅化する最大の利点は、広大な面積を一枚の生地として確保できる点にあります。生地幅の制約から解放されることは、単なるサイズの拡大にとどまらず、製造コストの最適化や環境負荷の軽減、さらには製品の付加価値向上など、生産性とデザインの自由度の両面で極めて大きなメリットをもたらします。
継ぎ目のない美しい仕立てと品質向上
背縫いや接ぎといった縫い合わせの箇所を大幅に減らす、あるいは無くすことができます。柄やデザインの連続性が保たれて見栄えが美しくなるだけでなく、縫い目による肌への摩擦軽減によって、着心地・寝心地の向上や、縫製箇所からのほつれ・強度低下を防ぐ効果も期待できます。
生地ロスを抑える歩留まりの飛躍的な向上
広大な面積を活かして、大きな型紙や複数のパーツをパズルのように効率よくマーキングできるため、無駄な裁ち落としを最小限に抑えられます。これは材料費の削減という直接的なコストメリットを生むだけでなく、廃棄生地の削減という環境負荷低減の観点でも重要視されています。
裁断・縫製工数を削減し、生産効率を最大化
一度の裁断で多くのパーツを確保できることに加え、縫い合わせる工程そのものが減少します。これにより、ミシンをかける時間や糸の消費量、生地を取り回す手間を大きく省くことができます。製造にかかるトータルの作業時間が短縮され、人件費の削減と量産スピードの向上に直結します。
制約を超えた大型製品への対応力
従来の生地幅では分割して縫い合わせるしかなかった巨大な製品も、一枚の生地で製作可能になります。縫い目がないことで、大型テントやシートなどの防水性・耐久性が向上したり、展示用バナーなどの大型プリントにおいてデザインが分断されず、よりダイナミックで完成度の高い製品作りが実現します。
広巾(広幅)加工でよくある不良
一方で、幅が広くなるほど加工の難易度は上がります。広い面全体を均一に処理する必要があるため、次のような課題が生じやすくなります。
幅方向の染めムラ
広幅生地では、幅の中央と両端で染料の入り方や熱の伝わり方に差が出やすく、幅方向に色ムラが生じやすくなります。幅の隅々まで色を揃えるには、広巾に対応した設備と均一なコントロールが必要です。
シワ・折れの発生
幅が広いほど生地の自重や張力の影響を受けやすく、搬送中にシワや折れが発生しやすくなります。広い面をたるみなく通す工程管理が、外観品質を左右します。
幅方向の寸法安定
熱処理や整理工程で幅が動くと、規格からのブレにつながります。広幅生地では動く量も大きくなりやすいため、幅方向の寸法を安定させる技術が重要です。
最大約4mに対応する当社の広巾(広幅)加工体制
東洋染工は、広巾生地化のトレンドに対応するため、広幅生地の加工体制を整えています。以下にその特徴をご紹介します。
最大4,300mm(約4.3m)巾のヒートセッター

当社は、最大4,300mm巾に対応するヒートセッターを保有しています。一般的な生地幅を大きく超える広幅生地であっても、幅全体の寸法・風合いを整えながら整理加工を行える体制で、最大約4m級の広巾加工にお応えできます。
3,000mm巾の起毛機

生地巾3,000mmに対応可能な針布(ループ)起毛機を備え、広幅の生地に対して先起毛・後起毛のいずれにも対応します。広い幅のまま、狙いどおりの表面感や風合いを付与できます。
幅全体を均一に整える工程管理

バインダーの選定・調合や加工条件のコントロールにより、お客様の要求に応じた寸法・風合い・機能を、広い幅のまま実現します。幅方向のムラを抑える工程管理と組み合わせることで、広幅生地でも安定した品質を保ちます。
>>当社の広巾加工の詳細はこちら
当社の広巾(広幅)加工の対応事例
当社は昭和38年(1963年)の創業以来、衣料資材にとどまらず、医療資材・農業資材・工業資材・生活資材といった幅広い分野の染色整理加工を手掛けてきました。加工対象や用途が多岐にわたるため、広巾対応が求められるさまざまな製品でご活用いただけます。最大約4300mm巾のヒートセッターを活かし、「この幅で加工できる工場が見つからなかった」といった広幅生地の加工にもお応えしています。
広幅加工(3本取り)

こちらは4200mm巾の生地を140巾に3分割(加工3本取)してコストダウンを実現した事例です。一般的には加工1本取りや2本取りで加工していた生地に対して、生機巾を広げて3本取り加工に変更することで、効率的な生産とコストダウンを実現しました。
単純計算で、1本取りと比較して約3分の1のコスト削減が期待できます。
広巾加工(広幅生地)でお困りの方は東洋染工にお任せください
当社は創業60年余にわたり染色整理加工に取り組んできたメーカーです。品質マネジメントシステムのISO9001に加え、環境・健康・安全の面で世界でも厳しい基準の一つとされるbluesign®(ブルーサイン)、繊維製品の安全性を評価するOEKO-TEX® STANDARD 100(エコテックス規格100)の認証を取得しています。
広巾加工(広幅生地)は、継ぎ目のない仕立て・歩留まりの向上・生産効率という明確なメリットを持つ一方、幅が広がるほど均一な加工が難しくなります。だからこそ、広巾に対応した設備と、幅全体を整える技術力を備えた加工先を選ぶことが重要です。
当社は最大約4.3m巾のヒートセッターをはじめとする設備で、広幅生地の広巾加工に対応しています。広幅生地の加工においても、安定した品質と環境・安全への配慮を両立してご提供します。「この幅で加工できる工場を探している」「広幅化を検討しているが品質が不安」といった場合は、ぜひ東洋染工にご相談ください。生地や用途に合わせた広巾加工をご提案いたします。

