サポーターの機能を両立するための貼り合わせ加工技術
サポーターは、関節や筋肉を支える固定力だけでなく、身体の動きに合わせて伸びる柔軟性、長時間装着しても蒸れにくい快適性、繰り返し使える耐久性など、複数の性能が求められる製品です。こうした機能を一つのサポーター生地だけで満たすことは難しく、近年では異なる素材を組み合わせる貼り合わせ加工が重要な技術となっています。本コラムでは、サポーター生地に求められる主な機能や異素材を組み合わせてサポーターの機能を付与する当社の貼り合わせ加工の特徴についてご紹介します。
サポーター生地に求められる主な機能

サポーターは、膝・肘・足首・手首・腰など、動きの多い部位に装着されることが多い製品です。そのため、使用部位や目的に応じて、サポーター 生地にはさまざまな機能が求められます。単に「伸びる」「締め付ける」だけでは十分ではなく、固定力、伸縮性、通気性、吸汗性、耐久性などをバランスよく備えることが重要です。
関節や筋肉を支える固定力
サポーターの基本的な役割の一つが、関節や筋肉を適切に支えることです。関節の過度な動きを抑えたり、筋肉や腱にかかる負担を軽減したりするためには、一定の固定力が必要になります。
固定力が不足すると、装着していてもサポート感が得られず、使用目的を十分に果たせません。一方で、固定力を高めすぎると動きにくさや圧迫感につながります。そのため、部位ごとに必要な保持力を見極め、締め付ける箇所と動きを妨げない箇所を設計上で分けることが大切です。
身体の動きに追従する伸縮性
サポーターは装着中も身体の動きに追従する必要があります。特に膝や肘のように曲げ伸ばしが多い部位では、伸縮性が不十分だと生地が突っ張ったり、ずれたり、着用時の違和感につながります。
伸縮性のあるサポーター生地を使用することで、関節の動きに合わせて自然にフィットしやすくなります。ただし、全方向に大きく伸びる生地だけを使うと、支えたい部分まで伸びてしまい、固定力が低下する場合があります。そのため、伸びる方向や伸び率を考慮した生地選定が求められます。
長時間装着するための通気性・吸汗性
サポーターは、スポーツ時だけでなく、仕事中や日常生活、リハビリなどで長時間装着されることがあります。肌に密着する製品であるため、通気性や吸汗性が低いと蒸れやべたつきが起こりやすく、快適性が損なわれます。
特に汗をかきやすい環境では、肌側に吸汗性のある素材を配置したり、通気性の高いメッシュ生地を部分的に使用したりする工夫が有効です。快適性が高いサポーターは継続使用しやすく、製品価値の向上にもつながります。
繰り返し使用に耐える耐久性
サポーターは着脱、洗濯、摩擦、伸縮を繰り返し受ける製品です。そのため、初期性能だけでなく、使用を重ねた後にも機能を維持できる耐久性が重要です。
生地の伸び切り、ほつれ、剥がれ、摩耗、へたりなどが起こると、フィット感や固定力が低下します。特にスポーツ用や作業用のサポーターでは、激しい動きや外部との接触が多いため、補強生地の配置や縫製・貼り合わせ部分の強度設計が欠かせません。
サポーターの用途別に見る生地の考え方
サポーターに求められる機能は、用途によって大きく異なります。同じ膝用サポーターであっても、スポーツ用、医療・リハビリ用、作業用、日常生活用では、重視すべき性能が変わります。用途に応じてサポーター生地の構成を考えることで、より目的に合った製品設計が可能になります。
スポーツ用サポーター
スポーツ用サポーターでは、動きやすさとサポート力の両立が重要です。走る、跳ぶ、踏み込む、ひねるといった動作が多いため、関節を安定させながらも運動を妨げない設計が求められます。
生地構成としては、伸縮性の高い素材をベースにしながら、負荷がかかりやすい部分に補強材を配置する方法が有効です。また、汗をかきやすい環境で使用されるため、通気性や吸汗速乾性にも配慮する必要があります。
医療・リハビリ用サポーター
医療・リハビリ用サポーターでは、患部の保護や動作制限、安定した圧迫力が重視されます。使用者によって症状や回復段階が異なるため、適切な固定力を持たせつつ、長時間装着しても負担が少ない設計が必要です。
肌への刺激を抑えるため、肌側にはやわらかく滑らかな生地を配置することが望まれます。また、装着位置がずれにくいこと、圧迫が局所的に集中しすぎないことも重要です。必要に応じて、クッション材や剛性のある部材を組み合わせることで、保護性や安定性を高めることができます。
作業用サポーター
作業用サポーターでは、長時間の使用や反復動作への対応が求められます。荷物の持ち上げ、しゃがみ込み、立ち作業、工具の使用など、特定の部位に負担がかかる作業環境では、耐久性とサポート力が重要になります。
また、衣服や工具、床面などとの摩擦が発生しやすいため、外側には摩耗に強い生地を使用することが効果的です。動作時のずれを抑えるためには、伸縮性だけでなく、身体に沿って安定する構造も必要です。
日常生活用サポーター
日常生活用サポーターでは、装着感の軽さや目立ちにくさ、扱いやすさが重視されます。家事、歩行、通勤、買い物など、日々の動作を支える目的で使用されるため、強すぎる固定力よりも快適性や継続使用のしやすさが重要です。
薄手で柔らかいサポーター生地を用いることで、衣服の下にも着用しやすくなります。また、肌当たりのよさや蒸れにくさを高めることで、長時間の使用でも不快感を軽減できます。
単一の生地でサポーター用生地を製作する場合の難点
サポーターには多くの機能が求められますが、単一の生地だけですべてを満たすことは簡単ではありません。伸縮性、固定力、通気性、耐久性は互いに影響し合うため、ある性能を高めると別の性能が低下することがあります。
伸縮性を重視すると固定力が不足する
伸縮性に優れた生地は、身体の動きに追従しやすく、着用時の快適性を高めます。しかし、よく伸びる生地は支える力が逃げやすく、関節や筋肉をしっかり固定したい場合には不十分になることがあります。
特に、過度な動きを抑えたい部位では、単に伸びるだけの生地では安定性を確保しにくくなります。そのため、伸縮する部分と伸縮を抑える部分を分けて設計することが重要です。
固定力を高めると装着感が悪化する
固定力を高めるために硬い生地や厚みのある素材を使用すると、サポート性は向上しやすくなります。一方で、曲げ伸ばしがしにくくなったり、圧迫感が強くなったりする可能性があります。
また、硬い素材が肌に当たると違和感や擦れの原因になることもあります。固定力を高める場合は、肌側に柔らかい生地を配置したり、動きの多い部分には伸縮性を残したりする工夫が必要です。
通気性と耐久性の両立が難しい
通気性を高めるには、メッシュ生地や薄手の素材を使用する方法があります。しかし、目の粗い生地や薄い生地は、摩擦や引っ張りに対して弱くなる場合があります。
反対に、耐久性を高めるために厚手の生地や高密度の素材を使用すると、通気性が低下し、蒸れやすくなることがあります。このように、通気性と耐久性は相反しやすい性能であり、用途や使用環境に応じたバランス設計が欠かせません。
異素材の貼り合わせ加工によるサポーターへの機能付与
複数の機能を両立させる方法として有効なのが、異素材の貼り合わせ加工です。貼り合わせ加工では、伸縮性、剛性、通気性、クッション性、防水性、透湿性など、異なる特徴を持つ素材を組み合わせることができます。
これにより、単一のサポーター生地では実現しにくい機能設計が可能になります。必要な部位に必要な機能を持たせられるため、製品の用途や着用シーンに合わせた細かな設計がしやすくなります。
伸縮性のある生地と剛性のある生地を組み合わせる
伸縮性のある生地をベースに、剛性のある生地を部分的に貼り合わせることで、動きやすさと固定力を両立しやすくなります。たとえば、関節の曲げ伸ばしに必要な部分には伸縮性を持たせ、過度な動きを抑えたい部分には伸びにくい素材を配置する方法があります。
このような構成により、サポーター全体の装着感を保ちながら、必要な箇所だけサポート力を高めることができます。スポーツ用やリハビリ用など、動作性と安定性の両方が求められる製品に適した考え方です。
メッシュ生地と補強生地を組み合わせる
通気性を確保したい場合には、メッシュ生地の活用が有効です。ただし、メッシュ生地だけでは摩耗や引っ張りへの耐性が不足することがあります。そこで、負荷がかかる部分に補強生地を貼り合わせることで、通気性と耐久性を両立しやすくなります。
汗をかきやすい部位や蒸れやすい部位にはメッシュ生地を配置し、外部と接触しやすい部分や強度が必要な部分には補強生地を配置することで、快適性と実用性を高められます。
肌側の生地と外側の生地に異なる機能を持たせる
サポーターは肌に直接触れる製品であるため、肌側の生地には柔らかさ、吸汗性、肌当たりのよさが求められます。一方で、外側の生地には耐摩耗性、形状保持性、デザイン性などが求められることがあります。
貼り合わせ加工を用いることで、肌側と外側に異なる機能を持つ生地を配置できます。肌側は快適性を重視し、外側は耐久性やサポート性を重視することで、着用感と製品性能の両方を高めることが可能です。
クッション材や発泡体を貼り合わせる
衝撃吸収性や保護性を高めたい場合には、クッション材や発泡体を貼り合わせる方法があります。膝や肘など、外部からの衝撃を受けやすい部位では、クッション性のある素材を組み込むことで保護性能を向上できます。
また、発泡体は厚みや硬さを調整しやすいため、用途に応じた設計がしやすい素材です。ただし、厚みを出しすぎると動きにくさや蒸れにつながるため、必要な部位に適切な量を配置することが重要です。
防水・透湿フィルムを組み合わせる
屋外作業や水濡れが想定される環境では、防水性を持たせたサポーターが求められることがあります。ただし、防水性を高めるだけでは内部に湿気がこもりやすく、長時間の装着には不向きになる場合があります。
そこで、防水・透湿フィルムを生地に貼り合わせることで、外部からの水の侵入を抑えながら、内部の湿気を逃がしやすい構成にできます。作業用や屋外スポーツ用など、環境対応力が求められるサポーターに適した技術です。
当社の貼り合わせ加工における特徴
ドット加工技術で風合いと機能性を両立

当社では、ドット加工技術を活用した貼り合わせ加工に対応しています。ドット状に接着剤を配置することで、全面接着に比べて生地の柔らかさや通気性を保ちやすく、風合いと機能性の両立を図ることができます。
接着面積を必要以上に増やさないことで、生地の硬化を抑えながら、用途に応じた接着強度を確保できます。これにより、衣料用途や肌に触れる製品でも、快適性を損ないにくい貼り合わせ加工が可能です。
無溶剤ホットメルトで環境配慮と機能性を両立

当社では、無溶剤ホットメルトによる貼り合わせ加工にも対応しています。ホットメルトは、加熱によって溶融した樹脂を用いて素材同士を接着する方法で、有機溶剤を使用しないため、環境負荷の低減にもつながります。
また、用途や素材に応じて樹脂を選定することで、柔軟性、接着強度、耐久性、防水性などを調整できます。環境配慮と機能性の両立が求められる製品開発において、有効な加工方法です。
あらゆる生地に対応しており、用途の幅を拡大

当社では、織物、編物、不織布、フィルム、合成皮革など、幅広い素材の貼り合わせ加工に対応しています。異素材を組み合わせることで、防水性、透湿性、防風性、クッション性、保温性、補強性、肌触り改善など、製品用途に応じた機能を付与できます。
生地の貼り合わせ加工でお困りの方は東洋染工にお任せください
今回は、生地の貼り合わせ加工についてご紹介しました。貼り合わせ加工は、スポーツウェア、アウトドア用品、介護用品、寝具、医療・衛生資材、産業資材など、幅広い分野で活用可能です。生地の貼り合わせ加工にお困りの方は、ぜひ当社にご相談ください。

