お電話からのお見積り・お問い合わせ

TEL.0776-51-1855
技術コラム

TECHNICAL COLUMNS

貼り合わせた生地が剥がれる原因とは?接着強度を左右する要素を解説

生地の貼り合わせ加工は、異なる素材を組み合わせることで、1枚の生地では実現しにくい機能を付与できる加工方法です。

一方で、実際に扱われている方から多くいただくのが「剥がれてしまう」というお悩みです。剥離の原因は接着剤だけにあるとは限らず、基布の表面状態や樹脂の選定、加工条件、後工程まで幅広い要素が関わっています。本記事では、貼り合わせた生地が剥がれる主な原因と、接着強度を左右する要素について詳しく解説します。

 

▼当社の貼り合わせ加工サービスの詳細はこちら▼

生地の貼り合わせ加工とは?

生地の貼り合わせ加工とは、接着剤を用いて異なる素材を一体化させ、1枚の生地に新しい機能を持たせる加工方法です。「ボンディング加工」「ラミネート加工」と呼ばれることもあります。

組み合わせられる素材の幅は広く、織物、編物、不織布、フィルム、合成皮革などを目的に応じて貼り合わせます。用途もアパレルにとどまらず、スポーツ・アウトドア用品、介護用品、寝具、医療・衛生資材、サポーター、車両資材、産業資材など幅広い分野に広がっています。

>>【関連記事】生地の貼り合わせ加工とは?異素材を組み合わせて防水・透湿などの機能を付与する方法

 

使用される樹脂材料

生地の貼り合わせに使われる接着剤は、樹脂をどのような状態で生地に塗布するかによって、大きく「溶剤系」と「無溶剤ホットメルト」の2つに分けられます。どちらも樹脂を液状にして繊維のすき間に入り込ませ、固めることで接着するという原理は同じですが、液状にする方法が異なるため、加工工程や仕上がり、環境面での特徴にも違いが生まれます。

 

溶剤

溶剤系の接着剤は、ポリウレタンやアクリルなどの樹脂を有機溶剤に溶かして液状にしたものです。生地に塗布したあと、乾燥工程で溶剤を蒸発させ、残った樹脂によって素材同士を接着します。

粘度を低く調整しやすいため、樹脂が繊維の内部まで浸透しやすく、薄く均一な接着層をつくりやすい点が特長です。長く使われてきた方式であり、多くの素材の組み合わせで実績があります。

 

無溶剤ホットメルト

無溶剤ホットメルトは、常温では固体の熱可塑性樹脂を熱で溶かして塗布し、冷えて固まる力で接着する方式です。溶剤を一切使用しないため、乾燥工程が不要で、残留溶剤やVOCの心配がありません。

樹脂の形状には、粉末状のパウダー、くもの巣状のウェブ、フィルム状のものなどがあり、加熱溶融した樹脂をロールで塗布する方法もあります。塗布の仕方を工夫することで、全面ではなくドット状やライン状に接着することもでき、接着面積を抑えて生地の柔らかさや通気性を残しやすい点も特長です。

 

貼り合わせた生地が剥がれる主な原因

剥離が起きたとき、まず「接着剤が弱かったのではないか」と考えられがちですが、実際に原因がそこにあるケースはむしろ少数です。

接着剤が強度を発揮するためには、溶けた樹脂が繊維のすき間に入り込んで固まり、しっかりとかみ合う必要があります。つまり、樹脂が繊維に十分入り込めなかったか、生地の表面が樹脂を受け入れられない状態だったか。原因の多くは、このどちらかに行き着きます。

 

撥水剤・油剤などが接着を妨げる

まず疑っていただきたいのが、生地の表面状態です。撥水剤、防汚剤、柔軟剤、紡糸油剤、製編・製織時の油剤、そして汚れ。これらが生地の表面に残っていると、接着剤が均一に広がることができず、界面から剥がれやすくなります。

とくに注意が必要なのが、撥水加工を施した生地です。撥水加工は水をはじく表面をつくる加工であり、水をはじく表面は接着剤もはじきやすいため、そのまま貼り合わせても十分な接着強度が得られません。この場合、加工の順序を見直す、接着する部分を分けて設計する、接着剤の種類を変えるといった対応が考えられます。いずれも設計の段階で決めておく必要があるため、撥水と貼り合わせの両方が必要な場合はあらかじめご相談ください。

 

樹脂と素材の相性が合っていない

貼り合わせに使用するホットメルト樹脂には複数の種類があり、それぞれ得意とする分野が異なります。

接着する素材、求められる耐熱性、必要な柔軟性、洗濯の方法と回数によって、適した樹脂は変わります。逆にいえば、使用環境が共有されないまま樹脂を選ぶと選定を誤る可能性があります。家庭洗濯なのかドライクリーニングなのか、どのくらいの期間使用される製品なのか。こうした情報は、加工の仕様を決める段階でぜひ共有していただきたい項目です。

 

温度・圧力・速度が適切でない

貼り合わせの仕上がりは、温度・圧力・加工速度の3つで大きく変わります。これらは独立したものではなく、互いに影響し合う関係にあります。

温度が低すぎると樹脂が十分に溶けず、繊維へ浸透しません。反対に高すぎると樹脂が流れすぎて接着層が薄くなり、生地側も熱の影響を受けます。圧力は樹脂を繊維の内部へ押し込む役割を持ちますが、かけすぎると樹脂が押し出されて風合いが硬くなります。加工速度は実質的に加熱される時間を決める要素で、速度を上げれば樹脂が溶けきる前に工程を通過してしまいます。接着強度と風合いを両立させるには、この3つを素材ごとに最適化していく必要があります。

 

伸縮率・収縮率の差が大きい

ニットとフィルムのように、伸びやすさや熱による縮み方が大きく異なる素材を組み合わせると、接着した面に負荷が集中します。加工した直後は問題がなくても、洗濯や熱処理のたびにそれぞれの素材が異なる動きをするため、界面に力がかかり続けます。これが生地の浮きや部分的な剥離につながり、表面がボコボコと浮き上がって見える状態として現れることもあります。

対策としては、素材選定の段階で収縮の特性を近づけるか、差を見込んだうえで柔軟性のある樹脂を選ぶかのいずれかになります。

 

縫製・洗濯・熱処理など後工程の影響

加工の時点では問題がなかった生地が、製品になってから剥がれるケースもあります。

縫製工程では、アイロンや熱プレスによって接着層が再び溶け、部分的に強度が低下することがあります。洗濯やクリーニングでは、家庭洗濯によるもみ作用に加え、ドライクリーニングでは溶剤の影響を受けます。社内の試験では家庭洗濯しか行っていなかったため、市場でクリーニングに出したものが剥離した、というケースは珍しくありません。

また、ポリウレタン系の樹脂は空気中の水分の影響を受けて時間とともに劣化する性質があります。これは加工不良ではなく材料の特性によるものですが、長期間の使用を想定する製品ではあらかじめ樹脂の種類を検討しておくことが大切です。

こうした点から、評価は加工直後の状態だけでなく、洗濯後、クリーニング後、熱処理後まで確認しておくことが、量産後のトラブルを抑えることにつながります。

 

接着強度の上げすぎが剥離を招くこともある

剥がれを防ぎたいと考えると接着強度を上げる方向に向かいがちですが、ここには見落とされやすいトレードオフがあります。

接着強度を上げるもっとも直接的な方法は、樹脂の量を増やして接着面積を広げることです。全面を接着すれば強度は確保しやすくなりますが、接着層が連続した膜になるため生地全体がごわつき、通気性も低下します。ストレッチ素材を使っていても、接着層が伸びなければ生地は伸びません。とくに衣料用途や肌に触れる製品では、風合いや着心地が製品価値に直結します。

さらに、硬い樹脂で全面を固めると、生地が伸ばされたときに樹脂が追従できず、その部分に力が集中して、かえって剥がれの起点になることがあります。強度を上げたつもりが逆の結果を招くというのは、伸縮性のある素材で実際に起こりうる現象です。

つまり求められているのは、接着強度を最大にすることではなく、その用途に必要な強度を確保しながら、風合いや通気性、伸縮性をできるだけ残すことです。このバランスをどう取るかが、貼り合わせ加工における設計の中心になります。

 

当社の貼り合わせ加工における特徴

 

ドット加工技術で風合いと機能性を両立

当社では、20年以上にわたって培ってきたドット加工技術を活用した貼り合わせ加工に対応しています。接着剤をドット状に配置することで、必要最小限の接着面積で強度を確保しながら、生地の柔らかさや通気性を保ちやすくなります。全面接着では対応が難しい、ストレッチ性を残したい製品や風合いを重視する製品にも対応可能です。

 

無溶剤ホットメルトで環境配慮と機能性を両立

当社の貼り合わせ加工は、有機溶剤を使用しない無溶剤ホットメルト方式です。残留溶剤の心配がなく、環境負荷の低減にもつながります。またPA、PET、PU、PURなど複数の樹脂に対応しており、接着する素材と使用環境に合わせて選定します。

 

あらゆる生地に対応しており、用途の幅を拡大

当社では、織物、編物、不織布、フィルム、合成皮革など、幅広い素材の貼り合わせ加工に対応しています。異素材を組み合わせることで、防水性、透湿性、防風性、クッション性、保温性、補強性、肌触り改善など、製品用途に応じた機能を付与できます。

>>当社の貼り合わせ加工の詳細はこちら

 

当社の生地の貼り合わせ加工事例のご紹介

足袋底生地の貼り合わせ加工

綿とポリエステルという異なる素材を、ポリアミド系ホットメルト接着剤を用いて貼り合わせた事例です。足袋底という強い力が繰り返しかかる部位に使用されるため、貼り合わせ部分の強度向上が求められました。素材の組み合わせに合わせて接着剤を選定することで、高強度の接着を実現しています。

>>足袋底生地の貼り合わせ加工の詳細はこちら

 

生地の貼り合わせ加工でお困りの方は東洋染工にお任せください

今回は、貼り合わせた生地が剥がれる原因と、接着強度を左右する要素についてご紹介しました。
現在使用している生地で剥離が発生している場合や、貼り合わせによって風合いが硬くなってお困りの場合は、現物のサンプルや不具合が生じた製品をお送りいただけますと原因の検討がしやすくなります。あわせて、基布の内容、これまでに施した加工、使用環境、求める風合いや耐久性を共有ください。

機能性繊維ナビを運営する東洋染工株式会社では、不具合の改善はもちろん、新しい複合素材の開発についてもご相談を承っております。独自のべたつき・汗冷え防止加工、4mを超えるような広巾の生地加工など、生地の性能を最大化させる加工に幅広く対応しております。お困りの方はぜひ当社にご連絡ください。

>>お問い合わせはこちら